はなし
【物語】
昔、若い人達が集まって、化け物が出るという噂のお堂に一人ずつ行ってみようという話になった。 ところが最初にお堂に行った若者は、化け物が「アーッ」と大きな口を開けて出ると一目散に逃げてしまった。 その次の若者も同じく化け物が「アーッ」と大きな口を開けて出たので逃げてしまった。
最後に残った若者は「情けないなあ。俺が化け物の正体を確かめてくるよ」と言って出かけた。 化け物が「アーッ」と大きな口を開けて出たので「ほら、食うなら食えっ!」と、化け物の口の中に自分から頭を突っ込んだ。
ところがよく見るとその化け物は はなし だった。
【補足】
話し手が聞き手に話をしてくれとせがまれて、話の種に詰まったときなどに利用される「はなし」という形式譚の一種。 鼻に椎が入ってしまう「鼻椎」、葉が無い大根の「葉無し」、歯の無い老婆の「歯無し」などの多くのバリエーションがある[1]が、これが化け物であることは稀である。
【掲載資料】
- 昔話
【参考資料】
- [主]『夢買長者─宮城の昔話─』 白田甚五郎(監),佐々木徳夫(編)/桜楓社/1972年
- [1]『日本昔話事典』 稲田浩二,他四名(編)/弘文堂/1977年
【コメント】
昔話をあさってるとよく出てくる「はなし」オチです。この世界は「はなし」という単語が出てきた瞬間に終わります。
【履歴】
2018年8月26日:Twitterでの紹介
2019年4月17日:N鬼夜行での紹介
【解説】
大きな口を持った妖怪。歯が無い。