雷鳥魚
【物語】
文化二年の四月上旬、越中国の放生渕四方浦でこの妖怪が一日に四、五回も海を荒らしていたため漁ができなかった。国主様に相談したところ、足軽が800人、御船頭450人、舟200艘、鉄砲530艇が派遣されたことで雷鳥魚は退治されたが、 このとき海中で三、四時間、雷のような音がしたという。
【補足】
文化二年には人魚退治のかわら版が多く刷られており、この雷鳥魚もそのうちの一つである。
【掲載資料】
- 『雷鳥魚 一名人魚』(かわら版)
【参考資料】
- [主]『奇妙な瓦版の世界 江戸のスクープ大集合』森田健司(著)/青幻社/2019年
- [副]見世物興行年表:文化元年(1804)~文化三年(1806)(外部リンク):書き下しを参考にした
【コメント】
人魚系のかわら版は数が多いので、その中でもあまり知られていないようなものを紹介してみました。
絵はなんとなく色を塗っていたらなんとなく幻想的な感じになって、元の荒々しさとはかけ離れてしまいました。
【履歴】
2020年11月9日:Twitterでの紹介
2021年10月14日:N鬼夜行での紹介
【解説】
全長は三丈五尺六寸(約10.8m)、頭は三尺五寸(約1.3m)、髪は一丈四尺五寸(約4.7m)、脇のヒレは六尺九寸(約2.6m)もある、角の生えた人魚の妖怪。腹の色は火のようであるという。