睡魔
【物語】
権左衛門は剛の者だったが、その主君は妖魔に魅入られてしまい深夜になると得体の知れぬ者に覆いかぶさられて苦悶していた。
権左衛門はその警護のために不寝番を命じられた。権左衛門が警護をしている間は妖魔が手出しをすることは無かったが三日目にもなると流石の権左衛門もグロッキーになってしまい、四日目の朝には休暇をもらって帰宅することにした。
家に帰ってみると、迎えてくれた妻の顔が馬のものになっていた。さらに妻に抱かれた赤子は子馬の顔、 下男や下女たちは牛の顔になっていた。出たな妖怪と思って刀で斬りかったところで権左衛門は気を失ってしまった。
丸一日経って権左衛門が目を覚ますと心配そうな顔の妻子や家僕に取り囲まれていた。皆の顔は人間のものに戻っていた。
そのときにお経を読んでいた和尚曰く、権左衛門は睡魔という魔物に憑かれていたのだという。
【補足】
【物語】に引用したのは『大阪伝承地誌集成[1]』に載る話である。
【掲載資料】
- 一般用語
【参考資料】
- [副]睡魔 - Wikipedia(外部リンク)
- [副]睡魔 - アンサイクロペディア(外部リンク)
- [1]『大阪伝承地誌集成』三善貞司(編)/清文堂出版/2008年
【コメント】
実際に睡魔に襲われて妖怪を紹介できなかった次の日にお詫びとして追加で紹介したやつです。妖怪って実在するんですね。
【履歴】
2017年10月19日:Twitterでの紹介
2019年4月17日:N鬼夜行での紹介
【解説】
睡眠への誘惑を魔物にたとえたもの。