豚尾魚

豚尾魚(とんびぎょ)

【解説】

 明治27年8月17日に大阪の中村久吉という漁夫が天保山の沖合で捕らえた奇魚。

 「くわいに目鼻をつけたよう」、「辮髪の人の首」などと形容され、大きさは高さ六寸横五寸、形は楕円形で色は淡い黄に黒を帯び、鱗は無く頭部に長い尾がある。

   

 久吉はこれまでこの魚を見たことが無く名前も分からなかったが、海に沈んだ平氏の亡霊がヘイケガニになった伝説のように、 このあたりに沈んだ豚尾漢が魚に化けて出たのだということにして、ある人に豚尾魚と名付けられた。

【補足】

 「豚尾漢」は中国人の蔑称。

【掲載資料】

  • 『萬朝報』明治27年8月23日:豚尾魚
  • 『都新聞』明治27年8月23日:時節柄の獲物(奇魚)

【参考資料】

  • [主]『明治期怪異妖怪記事資料集成』湯本豪一(編)/国書刊行会/2009年

【コメント】

 特徴はカエルアンコウ(イザリウオ)に似てますよね。←また言ってる。

 この顔で遊泳しているシーンを想うとほっこりします。

次の妖怪 一覧に戻る 前の妖怪

【履歴】

2017年9月16日:Twitterでの紹介

2019年4月17日:N鬼夜行での紹介