にちゃぐちゃ
【補足】
絵巻物などに描かれた『山彦[1]』とよく似た姿をしている。
この妖怪が描かれた『なんけんけれどもばけ物双六』の各コマには妖怪に対応した題名が書かれている。「ももんじい」「ぬつへらほん」などは 明らかにその妖怪の名称だが、対して「ひょいひょいひょい」「いいひひひん」や「にちゃぐちゃ」などは名称ではなく、妖怪の台詞や擬音であるように見える。
岩城紀子氏の『化物と遊ぶ──なんけんけれどもばけ物双六』では
「見たまま、感じたまま、のストレートなネーミング。さて、石燕ならどうするだろう。おそらく、種々文献を調べあげ、彼らの本名を探ろうとするのではないだろうか。 しかし、清春にとって、彼らの本名など、必要ではない。気楽な遊び相手、お互いを呼び合えるあだ名があれば、それで事足りるのである。」[2]
というふうにこれらをあだ名として解釈している。
【掲載資料】
- 『なんけんけれどもばけ物双六』
【参考資料】
- [主][2]『化物と遊ぶ──なんけんけれどもばけ物双六』岩城紀子/2000年 :東京都江戸東京博物館研究報告 第5号
- [副]C0055311 なんけんけれどもはけ物双六(双六類聚のうち) - 東京国立博物館 画像検索(外部リンク)
- [1]山彦 - Wikipedia(外部リンク)
【コメント】
上記の通り山彦みたいな妖怪ですが、そもそも伝承の山彦は姿がないわけで、昔の絵巻物の作者が何を考えて山彦をあんな姿にしたのかは分かりません。 この「にちゃぐちゃ」は「山彦」が「山彦」である所以の名前という要素を切り離して、その姿かたちの異様さを再認識させてくれる妖怪です。
【履歴】
2019年11月5日:Twitterでの紹介
2019年11月14日:N鬼夜行での紹介
【解説】
驚くほど黒い妖怪。